2010年09月27日

大阪のうどん

大阪のカウンター席しかない狭いそば屋でうどん食べてたら(客は私と夫しかいなかった)、入り口からコツコツと靴の音がして女性客が入ってきて私らの後ろを通るようだったので、うどん食べながら椅子を前にずらした。
そしたらもう通り過ぎてるはずなのにいつまでも座らないので「?」と思ったら誰もいなかった。
えっ、ちょっと何、と思ったが、それと同じくらい、うどん麺がボッソボソですごく不味いことにもびっくりしている時だったので、意外と女の人のことは気にならなかった。
大阪のうどんがいくら東京のとちがうからといって、コシがないとは聞いていたがこれはなんだ、ただ茹ですぎちゃっただけじゃないのか、なんだこのフワフワした麺は…と怒りすら覚えた。
注文するとき、東京で言うたぬきうどんが食べたくて、でも関西では「たぬき」と「きつね」が逆と聞いていたので、「この、きつねうどんっていうのがあったかいうどんに揚げ玉乗ってるやつですか」といろいろ聞いた。店主のおじさんは嫌な顔せず、複雑な東西うどんの呼称について優しく教えてくれた。あんなハートフルなシーンを過ごさせてくれた店主の茹でたうどんがまずいとかって残すなんてできない…でも美味しくない…でも全部食べなきゃ…と一生懸命食べてたら、さっきの女の人が私の後ろからうどんを覗き込んでる感じがすごくして、「覗き込んでる…」と思いながら食べた。40歳くらいの働いてる感じの格好してる髪は黒でロングかなって感じの女の人が目をまん丸に開けて私のうどんを見てる感じがした。うどんを見てるんだけど、食べたそうっていうわけでもないというか、キャリアウーマンみたいな人が人のうどんを凝視するって意味が分からなくて、でも自分の顔のすぐ右上に顔を突き出して来てる感じがして、不気味は不気味だった。霊なのかな?と思ったんだけど、実際に本当にそういう人がいるわけではないので怖いとかあまりなく、それよりもうどんを食べきらなければならない緊張があった。

そしたら、途中から突然パキッ!とうどんの味が「旨い!」に変わった。
あっ!うまい、うまい! と思ってそこからはスパークして一気に汁まで全部飲んだ。
留学するとある日急にパーッと英語が聞き取れるようになるとか、ビールのノド越しっていうのが突然分かるとか、煙草の美味さが分かる瞬間、そういう感じだと思う。
大阪のうどんが見た目はほとんど同じ(揚げ玉は焦がしてあった)なのに味があまりに東京のと違いすぎて、貯蓄されていた脳内データと照合されず「まずい」という感想をはじき出していたが、途中で女の人が来て気が散り、「ただ口に入れて食べる」という作業に変わったことで先入観や固定概念が揺らぎ、そこのスキマに「大阪のうどんはこれやで 東京のは味が濃いだけや コシなんかいらんのや」がズドーン!!と入ってきて旨さが分かった!!と眉間のあたりがビカビカするような、あの「旨いがわかる」の感覚になったんじゃないだろうか。

とにかく本当に美味しくて、帰りに「おいしいおいしい!!」って言ったけど夫はざるうどん(超細いやつ)だったからか女の人から覗き込まれなかったからか、そうでもなさそうだった。
心斎橋筋のお店です(http://www.shinsaibashi.ne.jp/tenpo/ce14.html

他のお店でうどん食べてないからここが異常にうまいのかどうかわからず、東京で関西うどん食べたいと思う。
posted by tabusa at 15:28| 食べ物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする